『自薦 THE どんでん返し』を読んだ その2

前回 → 『自薦 THE どんでん返し』を読んだ その1

前回からの続き。
その1に倣って各話毎に感想をつらつら。
しかし、なんと言うかイマイチ「どんでん返し」の捉え方にずれがあるのと、自分の読解力の低さのせいで、ちと辛目の評価になっている部分があります、ご了承ください。
扱うのは以下二作。

『アリバイ・ジ・アンビバレンス』 西澤保彦
『蝶番の問題』貫井徳郎

3話目『アリバイ・ジ・アンビバレンス』西澤保彦

妙に濃いキャラクターの一学生である主人公と、これまた濃い委員長の二人が同じ学園の同級生が起こした殺人事件について議論するという話。
議論の内容はタイトルにあるとおり容疑者である、同級生のアリバイについてなのだが、そのアリバイを証明するのが「主人公が一方的に同級生を見かけただけ」であり、同級生はその時同伴している人間がいたにもかかわらず、なぜかアリバイを主張することなく逮捕されてしまう。なぜ同級生は犯行を認めたのか、主人公の見たものはなんだったのか、を中心に主人公と委員長の二人が推論を重ねていくうちに事件に隠されていた同級生の思惑が明らかになっていく、といった感じ。
「どんでん返し」としては徐々に真相に迫っていくうちにだんだん事件と同級生の見え方が変わっていくというタイプ。
見てびっくりというものではないものの最後まで行くと、おおう、と声に出てしまうこと請け合い。
しかし短編に自分が慣れていないせいかもしれないが、やや同級生の出番が少なくて印象が弱いような気がする。特に主人公とは会話すらないため、情報が少なすぎて後半で意外な面が明らかになった際も驚きそこなった感がある。
推理やトリックを楽しむというよりかは主人公たちが推論で事件の真相に迫っていく鮮やかな様を楽しむといった作品。

四話目『蝶番の問題』貫井徳郎

主人公の刑事が一つの事件について、頭の切れる小説家である先輩に意見を求める話。
とある貸し別荘で事件が発生、しかし手がかりが少なく犯人の特定は難しい。
そんな中、事件当日について書かれた手記が発見され、それについて二人で分析していくといった内容。
話の入り方は一つ前のものと似たような感じだが、こちらの事件は閉ざされた貸し別荘で起こる殺人事件、犯人含め生存者もなしという、かの名作を思い出させるようなもの。
事件の結果だけを知らされて手記を読み進めていくという形で進行するのだが、ここに複線が満載。
「どんでん返し」がテーマの作品なのでそれなりに複線というか怪しいポイントについては注意していたつもりだったが、ほとんどスルー。
言われてから読み返して、不自然なところに気づくという典型的なだめ読者っぷり。
しかしそれが自然に織り込まれているので素直に感心するしかない。
短い作品ならではの詰めの甘さを逆に生かしたオチも見事。
一度目のどんでん返しを受けて読み返してびっくり、さらにオチを見てから読み返して納得、と一度読み終わるまでに二度も読み返してしまった。
自分の趣向に合ったという部分も大きかったと思うが現状四話だと一番お勧めできる作品。

残り半分を切ってちょっとテンションがあがってきた。
久々に読んでみたけど、やっぱり推理小説って面白いね。
と雑談を交えつつ、続きはまた後日。

次回 → 『自薦 THE どんでん返し』を読んだ その3

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA